プロが解説|屋根材の重要性を探る《第1回:一般的な屋根材の種類とその特徴とは!?》

長年に渡り、住宅を風雨から守ってくれる頼もしい存在の屋根。だからこそ、屋根材選びは重要なんです。

デザインやカラーリング、素材そのものが醸し出す質感や風合いなどで、住宅の印象を大きく左右する外壁。そんな外壁に関しては誰もが慎重に検討するのですが、視覚的に外壁ほど目立たない『屋根』に関しては、「外壁とコーディネートできていれば良し♪」という感覚で、それほど重要視されていないのが現状ではないでしょうか・・・。しかしながら、屋根は激しい風雨や紫外線などから長年に渡り住宅を守ってくれる頼もしい存在。そして、屋根の品質や性能が悪ければ、経年劣化による “雨漏りの懸念” や “断熱・遮熱性能の低下”、“色褪せが招く住宅そのものの印象の悪化”、さらに “耐震性の低下” という様々な弊害を誘発します。だからこそ、安心して長く住める住宅を創出する上で、屋根材選びはとても重要なポイントになってくるんです。
というワケで、今回は屋根材のイロハを2回に分けてレクチャー。1回目となる今回は、一般的な住宅に用いられている屋根材の種類と特徴についてズバッと解説いたします!

一般的な住宅で採用されている屋根材の、種類と特徴をクローズアップ!

現在の新築住宅に採用されている屋根材の主流は、【化粧スレート】と呼ばれている製品です。次に続くのが金属系の【ガルバリウム鋼板】を用いた屋根材で、ガルバリウム鋼板に追従する存在が耐食性や防錆性を強化した【ジンカリウム鋼板】、そして伝統的な屋根材として古くから利用されている【陶器瓦(粘土瓦)】や、海外で人気の【アスファルトシングル】、そしてシェアはグッと少なくなってしまいますが、【セメント・コンクリート瓦】や【トタン】の屋根材と続きます。ではでは、さっそく各屋根材の特徴やメリット&デメリットに迫っていきましょう☆

優れた性能と製品精度を誇る、シェアNo.1の屋根材【化粧スレート

ビルや工場、マンションなどを除く一般的な新築住宅で、現在最も多く採用されている屋根材が【化粧スレート】です。ちなみにスレートと呼ばれている建築材には自然の粘板岩を平板的に加工した「天然スレート」も存在しますが、価格帯が高額で、かつ重量があるので住宅の耐震性も低下するため、日本の一般住宅で採用されているスレートと言えば、セメントに合成繊維素材を混ぜて板状に加工整形しつつ、ペイントやコーティング処理を施してフィニッシュした【化粧スレート】が主流となります。
なお、この【化粧スレート】は『カラーベスト』や『コロニアル』などといったシリーズ名や製品名(※)で直接呼ばれることも多く、定番である平型はもちろんのこと、複雑なスリットやエンボスが刻まれたタイプ、さらに波型や瓦型など、デザインの多彩さは目を見張るものがあります。また、カラーバリエーションも豊富なため、どんな形状の建物にもマッチングさせやすいという大きなメリットを持っています。加えて、「天然スレート」や「陶器瓦(粘土瓦)」などと比べて重量も軽いため住宅そのものの耐震性が向上し、結果として地震に強い建物を創出することが可能になります。断熱性や防音・遮音性においても高い性能を発揮し、美観を保つための様々なテクノロジーも積極的に導入されている【化粧スレート】。耐用年数も比較的長いので、メンテナンス費用を抑えられる部分も優れた特徴と言えますね!
※今年で60周年を迎えた『カラーベスト』は、屋根や外壁材のトップブランドである “ケイミュー” がリリースしている歴史ある【化粧スレート】屋根材のシリーズ名。そして『コロニアル』は、同シリーズの中で高い人気を誇るベストセラーモデル。長きに渡り培われた信頼性と性能から、このように【化粧スレート】のことを直接シリーズ名や製品名で呼ぶケースが増えたと考えられます。

デザインやカラーバリエーションの豊富さに加え、製品精度の高さや耐震性の向上に直結する素材自体の軽量さ、さらには施工費用の安さを含めたコストパフォーマンスの高さなど、優れた特性を併せ持つ屋根材【化粧スレート】。現在の一般住宅の屋根材 “シェアNo.1” というのも納得の逸材ですね♪

●化粧スレートのメリット

・優れたデザイン性や豊富なカラーバリエーション
・製品精度が高く、品質も安定している
・施工がしやすく施工費用も比較的リーズナブル
・天然スレートや陶器瓦(粘土瓦)などと比べ軽量なため、耐震性に優れている
・断熱性や防音、遮音性が高い
・美観を保つための様々なテクノロジーが導入され、耐用年数が長い製品も多い

●化粧スレートのデメリット

・薄く軽量なため、他の屋根材と比べると衝撃に弱い
・経年劣化による防水性の低下を補うため、将来的には再塗装などのメンテナンスが必要となる

リフォームにも適した、軽く強い【ガルバリウム鋼板

一般的な新築住宅への採用率は化粧スレート系の屋根材に比べれば低いものの、経年劣化してしまった古い屋根材を覆う “カバー工法” などのリフォームの分野では、他を寄せ付けない高支持率を誇っている【ガルバリウム鋼板】。ちなみに外壁にも採用されるこの【ガルバリウム鋼板】とは、アルミニウムと亜鉛、そして微量のシリコン成分で構成された “アルミ合金メッキ鋼板” のことで、従来の一般的な金属鋼板と比べて高い耐食性や防食性を獲得しています。また、金属素材ならではの硬質な質感は都会的であり、先鋭的なデザインや雰囲気を優先させた “店舗住宅” などに採用されるケースも多いです。
なお、メリットに関しては、製品精度の高さや素材自体の軽量さに起因する優れた耐震性、シンプルで都会的な印象が得られる部分など。また、デメリットに関しては、断熱性や防音・遮音性の低さ、施工費用の高さ、傷や凹みが入りやすく “塩害の影響を受けやすい” という特徴が挙げられますね。

●ガルバリウム鋼板のメリット

・製品精度が高く、品質も安定している
・軽量なため耐震性に優れ、古い屋根を覆う “カバー工法” にも利用できる
・金属ならではの硬質な印象により、都会的な雰囲気を演出できる
・豊富なカラーバリエーション

ガルバリウム鋼板のデメリット

・断熱材等の裏打ち処理や加工がなされていない製品は、断熱性や防音・遮音性が低い
・施工には経験や技術力が必要なため、施工費用がやや高くなる
・傷や凹みが入りやすく、そこからサビの発生や腐食が進行する危険性がある
・定期的な洗浄や再塗装等のメンテナンスが必要で、塩害に弱いため地域によってはメンテナンスサイクルが短くなる傾向がある

ガルバリウム鋼板の弱点を克服した屋根材と謳われている【ジンカリウム鋼板

ベース素材はガルバリウム鋼板と同様ですが、表層部に微細な天然石の粒子をコーティングすることで金属系素材ならではの硬質なイメージを払拭。同時に紫外線の影響も受けにくく、耐食性や防錆性も高いという “ガルバリウム鋼板の弱点” を補う屋根材として登場したのが【ジンカリウム鋼板】です。ベースの表面に塗布された天然石チップのコーティングは断熱性や防音・遮音性の向上という相乗効果をもたらし、しかも “軽量なので耐震性が高い” というガルバリウム鋼板譲りの優れた特性もしっかりとキープ。より自然な風合いを加味した金属系屋根材として、隠れた人気を誇る存在といえるでしょう。
なお、デメリットに関しては、断熱材を裏打ちしてあるタイプのガルバリウム鋼板に比べると断熱性が劣る点、表層部にコーティングした天然石の粒子が剥離してしまう危険性がある点、ほとんどが輸入材のために価格帯が高価になりがち・・・といった部分でしょうか。

●ジンカリウム鋼板のメリット

・軽量なため耐震性に優れ、古い屋根を覆う “カバー工法” にも利用できる
・基材の表層部を天然石の粒子でコーティングしたことで、金属系屋根材特有の硬質なイメージを払拭。より自然な印象を獲得できる
・金属系の屋根材としては耐食性や防錆性があり、断熱性や防音性にも優れている
・耐久性が高く、再塗装やメンテナンスが不要と謳われている

ジンカリウム鋼板のデメリット

・断熱材等を裏打ちしてあるタイプのガルバリウム鋼板に比べると、断熱性や防音・遮音性は劣る
・表層部にコーティングした天然石の粒子が剥離する危険性がある
・ほとんどが輸入材のために、価格帯が高価になりがち
・施工には経験や技術力が必要なため、施工費用がやや高くなる
・金属系屋根材特有の “シャープなイメージ” は希薄となる

古くからある伝統的な屋根材【陶器瓦(粘土瓦)

現在の新築住宅におけるシェアこそ少なくなってきてしまったものの、数ある屋根材の中で最も一般的かつ形状を思い描きやすいのは【陶器瓦(粘土瓦)】ではないでしょうか。上質な粘土で伝統的な瓦型を成形し、ガラス質を含む釉薬(ゆうやく)を塗布して高温で焼き上げて仕上げられます。ちなみに釉薬の耐候性は非常に高く、経年変化による色褪せや劣化が少ない部分は【陶器瓦(粘土瓦)】の大きなメリット。また、遮音性や断熱性も比較的高く、住宅の寿命を左右する結露等の発生も抑えてくれるという優れた特性も有しています。デザインも和・洋・S字・平型etc.と豊富なバリエーションがあり、釉薬の量や焼き入れの手法で多彩な表情を見せてくれる部分も【陶器瓦(粘土瓦)】ならではの魅力です。
一方、デメリットとしては施工費用を含めた価格帯が高めであるという点、素材の重量が重めなので住宅そのものの耐震性が低下してしまう、職人の技量や経験によって見栄えや後々の耐久性に差が出てしまうといった部分でしょうね。

●陶器瓦(粘土瓦)のメリット

・伝統的な屋根材ならではの美しさや風情を味わえる
・耐候性が高く、経年変化による色褪せや劣化が少ない
・遮音性や断熱性が比較的高い
・形状や色合いを含めたバリエーションが豊富

陶器瓦(粘土瓦)のデメリット

・施工費用を含めた価格帯が高い
・素材自体の重量が重いので、住宅の耐震性が低下してしまう
・職人の技量や経験で、見栄えや後々の耐久性に差が出てしまう
・将来的には、目地などに充填している漆喰の劣化等が懸念される
・建物が古くなった場合は、台風や強風下で欠損や瓦飛びが懸念される

海外では一般的な屋根材【アスファルトシングル

北米などでシェアが高く、日本でも建築基準法が改正されてから普及し始めた屋根材【アスファルトシングル】。シート状のグラスファイバーに耐候性のあるアスファルトを浸透させ、表面に微細な天然石の粒子を吹き付けて着色した【アスファルトシングル】は、“薄く軽量で扱いやすい” という部分が最大のポイントです。素材自体がしなやかなので、ある程度の湾曲した面や複雑な形状の屋根にも対応可能。また、軽量さの恩恵で住宅そのものの耐震性が向上する部分も大きなメリットになっています。
とはいうものの、表面に吹き付けられている粒状の石はパラパラと剥離しやすく、経年変化で “反り” が入ったり、苔(こけ)やカビなども発生しやすいというデメリットも有しています。施工や加工の手軽さからか、近年ではDIY用としてネット通販もされている【アスファルトシングル】。防水性や耐候性も高い屋根材ですが、施工のしやすさや軽量さを活かした “カバー工法による葺き替え用” としての需要が高い素材といえそうです。

●アスファルトシングルのメリット

・しなやかで扱いやすく、施工がしやすい
・軽量なため耐震性に優れ、古い屋根を覆う “カバー工法” にも利用できる
・遮音性や断熱性、防水性や耐候性が比較的高い
・カラーバリエーションが豊富

アスファルトシングルのデメリット

・表層部にコーティングされている天然石の粒子が剥離しやすい
・経年変化で “反り” が入ったり、苔(こけ)やカビなども発生しやすい
・セメント系接着剤を用いて接着し、タッカーや釘で固定するため強風に弱い
・施工やメンテナンスに対応してくれる業者が少ない

重量の重さから需要が減少している【セメント・コンクリート瓦

加工や成形のしやすいセメントやコンクリートを主原料に製造された、【セメント・コンクリート瓦】。一般的な「陶器瓦(粘土瓦)」より安価なため陶器瓦に代わる新たな屋根材として注目されましたが、重量の重さからくる住宅の “耐震性の低下” や “耐用年数の短さ”、“再塗装の必要性” などといったデメリット面から、現在ではかなり需要が低い部類の屋根材になってしまいました。
なお、メリットとしては陶器瓦(粘土瓦)より安価であるということと、断熱性や遮音・防音性が高いということ。そして、製造メーカーこそ少なくなってしまいましたが、表面にセラミックコーティングや釉薬(ゆうやく)を施して耐候性や耐用年数を向上させたタイプもリリースされているということ。とはいうものの、近年では一般的な新築住宅の屋根材として扱われるケースは非常に少ないですね。

●セメント・コンクリート瓦のメリット

・陶器瓦(粘土瓦)と比較すると安価
・伝統的なデザインの製品が多く、陶器瓦(粘土瓦)と見分けがつきにくい
・断熱性や防音性が高い

セメント・コンクリート瓦のデメリット

・重量が重いため住宅の耐震性が低下する
・防水性が低いため、耐用年数が短い
・経年変化により色褪せが生じるので、将来的には再塗装が必要
・経年変化によりザラついた表面に、苔(こけ)やカビなどが発生しやすい

安価で軽量ながら耐用年数の低い【トタン

鉄製の薄い鋼板に亜鉛メッキを施して製造される【トタン】は、古くから日本全国の一般住宅や工場、倉庫などに採用されてきた伝統的な屋根材です。しかしながら、耐食性や防食性が低く “経年劣化” も顕著に現れるため、現在ではそのシェアを「ガルバリウム鋼板」に譲った形となっています。軽量で安価な【トタン】ではありますが、製造メーカーそのものも少なく、一般住宅に用いられるケースは激減しているのが現状ですね。

●トタンのメリット

・製品価格、施工費用共に安価
・軽量なため耐震性に優れている

トタンのデメリット

・経年変化に弱く、耐用年数が短い
・錆びや色褪せが発生しやすい
・防音性や遮音性、断熱性が低い
・錆止めの塗布や再塗装などのメンテナンスサイクルが短い
・形状やカラーなどにバリエーションが少ない

〜まとめのお話〜

数ある屋根材の中で最も高い採用率を誇る【化粧スレート】を筆頭に、軽量で強い金属系屋根材の代表格である【ガルバリウム鋼板】、そしてガルバリウム鋼板の弱点を補う屋根材と謳われている【ジンカリウム鋼板】に、古くから使われている伝統的な【陶器瓦(粘土瓦)】。このあたりが現在の一般的な新築住宅において支持されているされている屋根材と言えそうですが、海外で高い支持を受けている【アスファルトシングル】や、少ないながらも【セメント・コンクリート瓦】や【トタン】も存在します。デザイン、カラー、質感はもちろん、住宅の印象や性能を大きく左右する屋根材。だからこそ、将来の展望までしっかりと見据え、好みやご希望に合った屋根材をチョイスしていきたいですね!

というワケで、次回は屋根材のシェアNo.1となっている【化粧スレート】の中から、60周年を迎えたケイミュー社の『カラーベスト』シリーズをクローズアップ! 長きに渡る歴史の中で培われたノウハウや最新技術の導入により実現した、優れた性能や美観テクノロジーに迫ります☆

◎参考ホームページ/ケイミュー株式会社
https://www.kmew.co.jp/

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